中華料理秘話 泥鰌地獄と龍虎鳳 (ちくま文庫)

中華料理秘話 泥鰌地獄と龍虎鳳 (ちくま文庫)の詳細

南條竹則さんは、1958年11/11生まれ、季刊幻想文学に在学中から参加、幻想文学の泰斗で、また、中国の食文化にも詳しく、それぞれの分野で数多くの著作があります。私も秘書綺譚、怪奇三昧、人間和声などでレヴューしています。本書は、後者に属する著作で、中華料理と泥鰌についての文章、エッセイでまとめられています。元々は、華音、Theory、嗜みなどの雑誌に掲載された記事、エッセイに大幅に加筆、訂正したもので、ちくま文庫オリジナルです。やはり、この本でメインになるものの一つは、泥鰌料理でしょう！泥鰌地獄、これは私が小さいとき父親から教わりましたが、生きた泥鰌と豆腐を一緒に煮ると、水が徐々に熱くなり、泥鰌は辛抱しきれず、冷たい豆腐の中に逃げ込み、泥鰌入りの豆腐が出来上がるというしろもの。しかし、これはどうも眉唾物の料理のようです。よく考えてみると、水と同時に豆腐も熱くなりますし、泥鰌が暴れれば豆腐が崩れますし・・・南條さんはいろんな文献を考察すると同時に、自身も実際料理し、その可否を考察しています。次は、龍虎鳳です。といっても龍、虎、鳳を使った料理のはずがなく、蛇、猫、鶏を使った料理ですが、日本人から見ればこれでも、相当奇抜な料理には違いありません！！その他、叫化鶏・・・コジキドリといったほうがわかりやすいと思いますが・・・鶏を丸ごと泥に包み、焚火の中に放り込んで、蒸し焼きにする料理です。そして、魚と羊の料理、魚の腹に羊の肉を入れて作る料理で、私たちは、このような肉と魚を同時に使った料理を通常しないと思います。チョウザメの料理、洛陽水席・・・スープ、あるいは汁気の多いフルコースの料理・・など色んな珍しい料理が紹介されています。いずれも、文献的考察・・・これも中途半端ではありません・・・だけでなく、実際、中国まで足を運んで、可能な限り、自身でその料理を食されています。薄っぺらい文庫本ですが、その知識、努力は計り知れないほどの厚みがあります！！