アオアシ（１８） (ビッグコミックス)

アオアシ（１８） (ビッグコミックス)の詳細

もうサッカー漫画はこれだけ読んでおけばいいと言ってしまってもいいくらいに傑出している気がする。船橋戦の前半が中心の内容であるがこの巻で5レーンという理論が新たに登場する。説明は極めて明確でサッカーにそんなに詳しくない自分が読んでも成程とすんなり腑に落ちる。作中で絶えず新しい理論を提示し、アシトの技術の成長に併せるように理論も進化していく。バトル漫画で戦闘能力を数値化するのがよくあるが、あれより遥かに頭脳的な視点から”能力の成長の可視化”が具現化出来ている。だからこそスポーツ漫画でも過去に例がない説得力が生まれていると思える。なのでこれを読むと他のサッカー漫画を読む必要は無いのではとも思えてくるのである。ストーリーは5レーンを受けてより効果を発揮したはずのアシトの俯瞰の能力に違和感を抱かせ、文字通り後半の展開がどう転ぶか全く予測つかなくなっており、前巻からの不穏な空気も残ったままだ。高等戦術に即座に対応してくる船橋監督も切れ者っぽいし、後半では選手たちも掘り下げられるだろうから更に盛り上がること請け合いだ。単行本としてしっかり構成された引きも相変わらず上手いし、早く続きを読みたい。未回収の伏線も多々あるし、引き延ばしに陥ることなく今後も長く楽しませてくれるだろう。